無垢のフローリングを使ってます。京都のデンザイン設計工務店、KEEL PROJECTです。
無垢のフローリングって、冬は暖かく素足で歩ける。なんてコピーを頻繁に目にしますが、あれは少しオーバーだなと感じます。
KEEL PROJECTは元々製材所の運営もしていました。僕も製材機械に乗ってバリバリ丸太を柱や梁、無垢のフローリングへとつくりかえていました。
ただ、やはり担い手がいない現状が厳しく、今は閉鎖している状態です。復活を目指してます。
そんな僕は木にうるさいのです。
無垢の木の家もつくっています、無垢のフローリングのリフォームなども数多く手掛けてきました。
そんな時いつもお客さまから、「無垢のフローリングは冬でも暖かいですよね」なんてことを、質問されていました。
僕は決まってこう言います。
「夏は結構優秀なんですよ、でもね、冬になると条件が揃わないと意味がありません」
これには経験だけの発言でなく、しっかりとした根拠があります。今回は、無垢のフローリングの真実に迫りたいとおもいます。
目次
無垢のフローリングが暖かいと言われる理由
無垢のフローリングが冬に暖かいと言われるのには理由があります。それは心理的なイメージであったり、科学的根拠に基づいたものまで多岐に渡ります。
僕は長年木材と向き合ってきました。メリットも多くその恩恵を受け取ることは、生活の中で多大な効果を与えてくれます。
しかしです、無垢のフローリングの良い部分だけを見て、美化しすぎてはいけません。しっかりと木材の特性を理解することが必要です。ここは、譲れない部分だったので、しっかりと伝えておきますね。
木材が冬季に暖かいと言われる要因
熱伝導率の低さ
無垢の木材は熱を伝えにくい性質を持っています。それは多孔質構造(小さな穴が無数にあって、その穴の中に空気層があるようなイメージですね)だからです。コンクリートの床に素足で歩くと冷たいですよね。これって足の温度をコンクリートに奪われているからなんですね。熱の伝わる速度が異様に早い。熱伝導率が高いからなんです。
木材はいいやつなんで極端に言いいますが、あなたの足から熱を奪うなんてことはしないのです。いいやつです。
木材には無数の空気そうがあるため、熱伝導率が低いので、熱を極端に奪うことはしません。が、無垢のフローリングが冬に冷えていた場合、いくら熱伝導率が低いと言っても足の温度は「冷たい」と感じるくらいに奪われます。
自然素材の心理的効果
木って、自然素材の素材だから、やわかな見た目や感触が心理的にも安心感を与えます。これは木材の持つ最大の効果だと僕は考えます。木材を見ると温かいイメージを持つのはそのためですね。
木材が露出している室内環境では、人は温かく感じ、快適な空間だと高く評価することが示されています。凄いですよね。
これって、無垢のフローリングに対して皆さんが持っている肯定的なイメージそのものだとおもいます。こういった期待や、イメージが実際に体感として温かさとして、心理的な影響を与える場合があるんですね。
色と質感の影響
無垢のフローリングの色味や質感は、ひとに心理的な温かさを与えてくれます。木の表面の質感は柔らかいですよね。肌触りが良いことも温かさを感じる要因となります。
僕たちは自然と、木材は温かいといったイメージをつくりだしています。誤解がないように言いますが、これは木材の恩恵を受け取れる準備が整って初めて、得られるものです。
無垢のフローリングのポンテンシャルは計り知れないです。しかしです、その大きな力を引き出し、影響力を持続させることが重要なんですね。
床材の熱伝導率を見てみよう
熱伝導率は材料が熱をどれだけ効率的に伝えるかを示す値です。一般的なフローリング材料の熱伝導率は以下のようになっています
木材:約0.12 ~ 0.16 W/(m·K)
コンクリート:約1.0 ~ 2.0 W/(m·K)
合板(フローリング用):約0.13 W/(m·K)(木材の一種としてほぼ同等)
タイル:約1.0 ~ 3.0 W/(m·K)(セラミックタイルが一般的)
CF(クッションフロア):約0.25 W/(m·K)
木材と合板フローリング(建材)とが熱伝導率でほぼ同じですが、これは数値だけを見たら。の話です。先にも言いましたが、無垢のフローリングは多孔質です。無数の空気層がたくさんありますよね。だから、実際に触って見たら違いを感じるんですよね。
無垢のフローリングのポテンシャルを解放せよ
無垢のフローリングは確かに、他のフローリング材に比べて触ったら違いが出ます。ですが、数値的に差はありません。僕たちが感じる温かさは、柔らかさやイメージに左右されることが多いことがわかりますね。
話を戻しますね。無垢のフローリングが冬に温かいと感じられるのには、環境条件があります。
高断熱高気密
暖房の効きが良い部屋って、無垢のフローリングも暖かく感じることができます。と言うことはです、暖房が十分でないと冷たく感じるのです。これはどういったことかと言うと、断熱気密が最大の武器となります。
室温が暖かければ、無垢のフローリングが冷たくなることはありません。なぜかって?熱伝導率が低いからです。
無垢のフローリングは微量の蓄熱性能を持ちます。なぜ微量かって?厚みが薄いからです。蓄熱体を持つと言うことは、室内の温かいな温度を吸収します。木材が、室内の熱を吸収し、一定の環境温度(冷えたら)達したら、徐々にためた熱を放出します。
断熱と気密の効果で、室温が下がりにくいい場合、無垢のフローリングのポテンシャルは解放されます。
よって、冬場でも裸足で過せる。といううわけです。
日射の利用
断熱気密を強化した場合、窓から入る日射を積極的に取り入れて、無垢のフローリングに蓄熱させることは、非常に有効な手段となります。しなければいけません。
余談ですが、夏場の無垢のフローリングはサラサラです。
これは多孔質、柔らかな表面、ある一定の大気中の水分や足の裏の水分が、無垢のフローリングの表面に付着し、吸い取ってくれるからです。
また、夏場はエアコンなどで室内温度が下がりますよね。無垢のフローリングは室温に馴染むのでさらっとした質感を与えてくれます。
ただしです、無垢のフローリングは動きます。呼吸します。ではなく動きます。ここを理解することも、無垢のフローリングと付き合う上では、重要なことなのです。
まとめ
今回は、無垢のフローリングって冬にあっかいの?というお話でした。僕たちは、無垢のフローリングを丸太からつくり、お客様の家に施工していました。
はっきり言って、無茶苦茶に良い。
しかしです、しっかりとした、木材の特性や、何が必要なのかを把握することが必要となります。無垢のフローリングは、しっかりとした断熱気密工事がされている場合、冬でも暖かな環境をつくりだしてくれます。
KEEL PROJECTは、自然素材のポテンシャルを解放するための、省エネエコハウス「風が住まう家」をつくっています。
無垢のフローリングに興味のある方、自然素材の家を作りたい。と考えているあなた。
ぜひ一度、遊びにきてくださいね。