京都のデンザイン設計工務店KEEL PROJECTです。
無垢のフローリングに床暖房は可能ですか?というご質問をよく聞かれます。無垢のフローリングの特性からいって、床暖房との相性は良くありません。
木が反ったり、フローリングの隙間が以上に空いてしまったりと・・・。
不具合のが頻繁に起こることが予想されます。これは、僕自身が、無垢のフローリングに床暖房を設置してみた結果、感じたことをお伝えしています。
今回は、床暖房の特性と無垢のフローリングの特性を理解することで、しっかりとした選択ができるようになることを目指します。
目次
無垢のフローリングの特性
木の美しさ
無垢のフリオーリングは木目がむちゃくちゃ綺麗です。どれも同じものがないので、自然の風合いを楽しむことができます。また、時間が経つにつれて色が深まったり、艶が出たりと「エイジング」を楽しめるのも無垢のフローリングの特徴です。
独特の質感
木にはなんとも言えない独特の質感や風合いがあります。柔らかな質感は足触りを暖かく、また、爽やかに演出してくれます。
耐久性
正しくメンテナンスを行えば、長期間の間使用することが可能です。傷やダメージが生じた場合などは、研磨などを行えば再生可能です。
個性の強さ
同じ樹種であっても木目や色合いなど個体差があります。この個性が他にはない独自の空間をつくり出してくれます。
環境調和性
木は自然素材です。環境に優しく、室内空間の湿度調整などにも役立ちます。また、熱伝導率が低いため、一定の条件をクリアすれば、足裏の感触に温かみを与えてくれます。
修復可能
表面が傷ついた場合には、研磨して元の状態に戻すことができるため、長期的に美観を保つことができます。
無垢のフローリングはその美しさと機能性で多くの人々に選ばれていますが、湿度や温度の変化に敏感であるため、メンテナンスには注意が必要です。
神経質になる必要はありませんが、日々のケアをすればするほどそれに応えてくれるのも、無垢のフローリングの特徴ではないでしょうか?
実はウソだった・・無垢のフローリングが暖かいなんて・・の記事はこちらからどうぞ
床暖房の特性
床暖房は家庭やオフィスなどの建物に快適な暖かさを提供する暖房システムです。床の下に暖房要素を設置することで、部屋全体に均等に暖かさを供給します。
輻射熱による放熱
床暖房は輻射熱を利用して部屋を暖めます。床から放出される熱が直接空間を暖めるのではなく、床面に接触する物体や人に熱を伝えます。これにより、空気を暖めるのではなく、接触した物体や人が温まるという効果があります。
足元からの放熱
床暖房は足元から部屋を暖めるため、体感温度が高く感じられます。暖かい空気は上昇するため、床から発生する熱が上へと移動し、部屋全体が均一に暖かくなります。
床暖房は快適で健康的な暖房方法とされており、足元からじんわりと暖めるため、冷えやすい足元を直接暖めることができるのが大きな利点です。また、エアコンなどの他の暖房方法と比べて空気が乾燥しにくいというメリットもあります。
エネルギー効率の良さ
床暖房は比較的低温で効率的に運用が可能で、空気を温める他の暖房方式に比べて熱損失が少ないため、エネルギー効率が良いとされています。
健康面での利点
床暖房は空気を乾燥させにくいため、呼吸器系の健康を保ちやすいです。また、空気の対流が少ないため、ホコリが舞い上がりにくく、アレルギーのある人にも適しています。
無垢のフローリングと床暖房の相性
床暖房と無垢のフローリングはとても相性が悪いのです。なぜか、無垢のフローリングは天然の木材を使用しています。そのため、温度や湿度に敏感に変化をします。そのため、床暖房による熱は無垢の木材を乾燥させて収縮させます。
その結果、反りや割れ、隙間が大きく開くなどといった問題を引き起こします。必ずです。
また、床暖房はフローリングの下から均一に熱を放出しますが、無垢のフローリングは熱を付近いつに吸収することがあります。これが無垢のフローリングの歪みの原因にもつながります。
無垢のフローリングはどうしても熱による乾燥に対して「動き」を見せます。
高性能化することで床暖房はいらない?
住宅の高性能化が進むと、床暖房の必要性は低下する可能性があります。特に断熱性や気密性が高く、エネルギー効率の良い住宅では、小さなエネルギーで室内を快適な温度に保つことができます。以下は、高性能住宅における暖房需要に影響を与える要素です
優れた断熱性
壁、屋根、床、窓など全体の断熱性能が高いと、外部からの熱の侵入や室内の熱の逃げることが大幅に減少します。これにより、室内は一年中安定した温度を保ちやすくなります。
気密性の向上
隙間が少ない気密性の高い住宅では、冷暖房の効果を最大限に活かせます。外部の冷気や暖かい空気の侵入が少ないため、エネルギー効率が良くなります。
省エネルギー設備
太陽光発電や高効率の暖房機器など、省エネルギー設備の導入も室内環境を整えるのに役立ちます。これにより、従来の暖房方法に頼らずとも、快適な環境を保つことが可能です。
パッシブデザイン
日光の利用、風通しの良い設計など、自然エネルギーを活かしたパッシブデザインも、住宅の暖房・冷房負荷を減らすのに貢献します。
これらの要素が整った高性能住宅では、床暖房のような追加の暖房設備が必ずしも必要ではなくなるかもしれません。しかし、床暖房が提供する均一で快適な暖かさは、特に寒冷地や個々の快適性の要求が高い場合には、依然として価値ある選択肢となります。また、個々の生活スタイルや好みに応じて、床暖房を併用することで、さらに快適な住環境を実現できるでしょう
床暖房対応の無垢のフローリング
床暖房対応の無垢のフローリングがありますが、熱圧縮などの加工がされ、硬くなっているため、無垢のフローリング本来の効能や特徴は低減しています。
ただ、風合いなどは無垢の特徴を残していますので、床暖房と無垢のフローリングの組み合わせが譲れない場合は、選択肢に入れてもいいかもしれませんね。
床暖房に変わる暖房器具
床暖房の代わりとして検討できる暖房方法には、いくつかの選択肢があります。これらの方法は、設置環境、エネルギー効率、コスト、個人の快適性の好みに基づいて選ぶことができます:
エアコン(ヒートポンプ)
現代のエアコンは高いエネルギー効率を持ち、冷房だけでなく暖房にも使用できます。インバーター技術を使ったモデルは、消費電力を抑えつつ効率的に室温を調整できます。
パネルヒーター
壁に取り付けるタイプの電気ヒーターで、放射熱を利用して部屋を暖めます。設置が簡単で、部屋のデザインを損なわないスリムなデザインのものが多いです。
輻射暖房システム
床暖房と同様に放射熱を利用しますが、床ではなく天井や壁から熱を放出します。これにより、床面を自由に使えるという利点があります。
ペレットストーブ
木質ペレットを燃料とする暖房器具で、再生可能エネルギーを利用したエコフレンドリーな暖房方法です。燃焼効率が高く、コスト効率も良いです。
ガスヒーター
都市ガスやプロパンガスを燃料とする暖房器具で、速暖性が高いのが特徴です。煙突を設置する必要があるモデルもありますが、部屋を迅速に暖めることができます。
オイルヒーター
電気を使用してオイルを加熱し、その熱で部屋を暖めるタイプのヒーターです。表面温度が高くなりにくいため、小さな子供やペットがいる家庭に適しています。
OMソーラー
OMソーラーは、自然エネルギーを利用した環境に優しい建築システムの一つで、特に太陽熱を活用することで、暖房、冷房、換気を効率的に行うことができるシステムです。このシステムは日本で開発され、特に断熱性と気密性に優れた住宅でその効果を発揮します
まとめ
無垢のフローリングと床暖房は相性は最悪です。また、床暖房に対応している無垢のフローリングもありますが、無垢の本来の特性は低減しています。ただ、こういった特徴を踏まえて選択するといいかもしれませんね。
また、住宅を高性能化することで、床暖房がなくても快適に暮らせる空間を作り出すことは可能です。肝心なのは、エネルギーを効率よく素材に蓄熱させ、その熱が逃げないように効果的な断熱気密を施工することです。