京都のデンザイン設計工務店KEEL PROJECTです。
京都の亀岡市ような盆地で霧が多い地域では、太陽光発電を設置する際には、霧によるパネルへの影響、その他の地理的な特性を考慮することが必要となります。また、何を目的として、太陽光パネルを屋根に搭載するのかも重要なポイントとなります。
アフターFITまでの売電が目的なのか、それとも自家消費が目的なのかで、設置基準となる季節やパネル角度など全てにおいて影響が出てきます。
今回は、京都府亀岡市で太陽光パネルを屋根に搭載する上で、最大限の効率を上げるための考え方や、方法をご紹介します。
目次
地域の特性を理解する
1. 日照時間の正確な評価
霧が多い地域では、太陽光の日射エネルギーが低下します。そのため、予想していたよりも発電量が減少するといった事象が起きる可能性があります。3年前後の気象データをもとに、日照時間や霧の発生パターンなどを把握することが重要となります。これにより、発電効率の予想精度が向上します。
亀岡市では晩秋から早春にかけて約40日程度の濃霧が発生します。霧や霜、雪といったものは、日照時間の減少、発電効率の低下などに顕著に影響を及ぼします。
2. 太陽光パネルの選定
冬場の発電量を確保するためには、霧による光の拡散を考慮して、低光量でも効率的に発電可能なパネルを選択しなければなりません。ですが、夏場の売電を期待するのかによってはパネルの選択するらも変わってきます。
3. パネルの設置角度と方向の最適化
冬季の霧の多い地域では、日中太陽の位置が低くなることが多くなります。適切にパネルの角度と方向を設定する必要があります。これにより、限られた日照時間内での最大限の光を捉え、発電量を増やすことを期待しまます。
パネルの角度は夏場の最適角度と、冬場の最適角度は大きく変わります。しっかりと目的を定め計画することが重要です。
4. システムの定期的なメンテナンスと清掃
霧に含まれる水分や汚れがパネルに積もると、光の透過率が低下し、発電効率が下がります。定期的な清掃とメンテナンスを行うことで、パネルの表目を清潔に保つことで、最適な性能を維持することにつながります。ただ、容易に清掃などできないため、太陽光施工業者と、保守契約を結ぶことが必要でしょう。
5. 蓄電池
夏季は発電効率が日照時間と比例して向上します。アフターFITまでの売電を期待するなら、夏季を中心に考えなければいけません。
冬季は、日照時間が限られている中で、発電した電力を有効利用するために、蓄電池などのエネルギーを蓄えておくことを検討します。
アフターFIT 10問題
アフターFIT(10年間の売電補償)が終了すると、余剰電力を得ることでのメリットはほぼありません。夏場の余剰電力での売電の恩恵はほぼなくなります。できるだけ、自家消費を目的として、太陽光発電の導入を考えることが重要です。
京都府亀岡市の太陽光パネルの最適角度は?
京都府亀岡市は地理的に約35度北緯にあります。太陽光パネルの設置角度を決める際、一般的にはその地域の緯度に近い角度が効果的と言われています。
年間を通じての最適角度
亀岡市の緯度に近い、約35度の角度が全体的に効率的に発電します。
冬季に特化した角度
冬季は太陽高度が低いため、より鋭角な角度40度ー50度の設定でより多くの太陽光を捉えることが可能となります。パネル架台での角度調整などは慎重に行います。
夏季に特化した角度
夏季は太陽高度が高いため、より水平に近い角度20度ー25度程度が安定して発電することができるでしょう。ただ、夏季は熱量が強すぎるため、パネルの発電効率を下げる可能性もあります。
亀岡市のような盆地で霧が多い地理的環境において、冬季の発電効率を重視する場合などは、より垂直に近い角度を選択することが望ましくなります。年間の安定した発電を目指す場合は、約35度の角度が平均して発電効率を向上させます。ただ、闇雲に太陽光のパネルを設置するのではなく、具体的な地形、建物配置、周囲の環境などの条件も含めて検討することが必要です。
夏場か冬か
太陽光発電システムの設計を考慮する際には、年間を通じての効率と効果を最大化することが重要となります。特に季節による変動を理解することは、適切なパネルの配置、初期投資額に顕著に現れてきます。夏と冬どちらの季節を軸に考えるかは、その地域の特性、使用目的などによって変化します。
代表的な夏と冬の利点と課題について見ていきましょう。
夏季の利点と課題
利点
夏は日照時間が長く、太陽日射角が高いため、発電量が増加します。日中のピーク時に多くの電力を供給することが可能となります。
課題
夏は気温が高くなります。太陽光パネルの効率は、パネル温度の急激な上昇で低カします。考えていたよりも発電しない場合は、パネル表面温度の上昇により、発電効率が減少したことが原因でしょう。また、エアコンなどの冷房負荷により、電力需要が高まるため、需要と供給のバランスをしっかりと考慮した上での、設計が肝心です。
冬季の利点と課題
利点
冬場は、太陽の日射角度は低く、パネルが寒冷地向けに(設置角40度−50度、や低日照での発電効率の特化している)最適化されている場合、発電効率は向上します。パネルの表面温度の上昇も抑えられるので、予想以上の発電量をもたらすこともあります。
課題
日照時間は夏場に比べて短く、曇りの日が多くなる傾向があります。全体的な発電量は、冬場に最適化したとしても夏には劣ります。また、冬場の暖房需要による電力消費が増加します。高性能なエネルギー効率の良い住宅でないと、冬場の発電効率だけでは、まかなえなくなります。
まとめ
年間を通じて均一的な発電量を目指すのが理想的ですが、なかなかそうはいきません。
亀岡市などの霧の発生が多い地域では、夏場と冬場の差が生まれやすい地域と言えます。KEEL PROJECTでは冬場を軸に太陽光発電の計画を練るようにしています。
売電を意識するのではなく、自家消費を向上させることが重要だからです。
夏場は発電効率が最大になるのは変わりませんが、冬場に最大化できるように目指さないと、アフターFIT後の売電価格は期待できません。また、この先電力の値上げなども予想されるため、ますます再生可能エネルギーでの自家消費率をあげることが重要となってきます。